伝統的建築材料

木材
      
木割【きわり】
木割りとは、木造建築において建物の寸法を、各部材の「比例」で表した物で、たとえば「柱の太さ」を基準にした場合、その他の部材の寸法や間隔をどういった割合にすべきか決めた物です。木割り自体は奈良時代から存在したとされています。その木割りの秘伝書は、元は一族師弟の門外不出のものでありました。そのため、断片的な木割り書や、師弟間での口伝で継承でした。それが「匠明」により木割りが詳細に体系化され、細部の微妙なバランスや「型」が目に見える形になりました。統一的な比例関係が用いられ,日本建築における設計技法の美的規範となりました。それが、匠明(しょうめい)の秘伝書です。
「匠明(しょうめい)」
日本の伝統建築は、木造技巧の粋であります。その木造のマニュアルと言うべき物が、「木割り(きわり)」です。その木割りを体系化し、完備した日本最古と呼ばれる木割り書が、1608年に平内正信(へいのうち まさのぶ)によりまとめられた全5巻からなる「匠明(しょうめい)」です。平内正信は安土桃山時代の紀伊国(和歌山県)の大工一族です。「匠明」はその後、平内一族の秘伝書となり、江戸幕府大棟梁の系譜につながっていきます。
木造住宅の木材
木造の家を建てるためには、木材が必要不可欠です。家の使用部位により、木材は、構造材、羽柄材、造作材、銘木等に分かれます。 しかも、木材には様々な樹種があります。構造材に適した樹種、造作材に適した樹種等があります。木材は全ての部位に品質の優れた樹種を使うことができれば言うことはないのですが、適材適所、部位を考えて使用されます。
1.構造材
構造材とは、家の骨組みを造る部材、材木のことです。 具体的には、土台・柱・梁(はり)・桁(けた)・母屋(もや)のことを言います。
2.羽柄材とは
構造材を補うもう木材で、下地材のことです。 具体的には、垂木(たるき)・筋交い(すじかい)・間柱(まばしら)・根太(ねだ)のことを言います。
3.造作材
造作工事とは、柱や梁などの構造部分以外の内装工事を指します。 たとえば、天井や床、階段、窓の額縁、戸枠などです。 造作材は、建築内部の仕上げ材・取り付け材の総称。天井・床・棚・階段のほか、和室における鴨居・敷居・長押・框や、笠木などに使われる。化粧材とも呼ばれる。一般に造作材は、建築の骨組みが完成してから用いられる。また、建築の構造には直接関係しないが、使い勝手や環境を大きく左右する。 
4.銘木
銘木とは、木材や板材のうち、稀少な杢があるものや、材種自体に希少価値のあるものを指います。特に杢に関してはケヤキの玉杢や、トチの縮み杢などが分かりやすい銘木です。馴染みのある杉材であっても、樹齢や木目の風合いで銘木となります。このように普段、目にするごく一般的な樹種でも「模様の美しさ」や「樹齢」そして「出で立ち」など、様々な要因から銘木と成る一本もあります。  一本一枚ごとに表情・放つ雰囲気が異なる木材ならではの表現とも言えるでしょう。
5.無垢
無垢材とは、使用する形状で丸太材から切り出した木材を指します。樹木様々な木目や表情が味ではありますが、一本の木から採れる材が限られることや、反り・狂いが生じやすいという欠点があります。しかし、無垢材は施工後、良い環境で乾燥することで強度がさらに増して行く樹木もあります。結露や雨水といった浸水がなければ、建物完成時の強度を何十年も維持して行きます。
天然木・銘木一覧
トチ()ケヤキ()サクラ()クスノキ()タモクワ()
ナラ()カエデ()    
構造材の国内材種
1)ヒノキ  ヒノキは高い強度や耐久性をもち、土台や柱などの構造用部材として非常に優れた樹種です。日本の代表的な樹種として、昔から住宅のほか寺社建築などでも使われてきました。浅黄白色や淡い黄褐色、淡い紅色などの色をしており、美しい年輪を持ちます。柱など見える場所に使うとヒノキ特有の香りや見た目が楽しめます。耐湿・耐水性がありシロアリの腐食に強いため、土台にもよく使われます。伐採後から強度が増して、100年以上もつ木材として有名です。
使用部位は、土台、天井板、欄間、敷居、長押、縁板
2)スギスギもヒノキ同様、日本で昔からよく使われてきた樹種です。淡紅色から赤褐色をしており、黒褐色を帯びていることもあります。湿気やシロアリに強いので、土台や柱などに適した材料です。柔らかい樹種で強度はヒノキに劣ります。比較的狂いは少なく、柔らかく加工しやすいことから、構造材や造作材にも多く使用されていますが、耐久性はそれほど高くありません。特有の芳香を楽しめる材料でもあります。
使用部位は、母屋、柱、天井板、床板、造作
3)赤松  松脂(マツヤニ)を多く含むため、水に強いことが特徴です。ヤニを含むことから手を触れない梁や敷居の摩擦部にも使用されます。木目の鮮明さから、造作材としてもよく使用される材です。
使用部位は、梁、敷居、床板
4)ツガ(トガ)硬く、まっすぐな木目柱、重硬で耐久性がありますが、硬さのため加工性はあまり良くはありません。
 使用部位は、土台、根太、床柱、天井板、敷居、鴨居
5)ヒバ(アテ)比較的安価な材ですが、菌や水湿、シロアリに対する耐性が強いのが特徴です。
 使用部位は、土台、柱、軒周り、ぬれ縁
国産広葉樹の種類
1)ケヤキ  木目の美しさや強靭性、耐久性が優れた材です。 その硬さと狂いが生じることから、扱いにくく高い加工技術が必要な材といえます。 美しい木目を持つことから人気がありますが、量が少なく高価な部類となります。
 使用部位は、大黒柱、床の間
2)クリ  重硬で耐久性や耐水性、虫の害にも強いことが特徴です。昔から土台に使用されてきた材です。近年は量が少ないため高価な部類となります。
 使用部位は、土台、ぬれ縁、上がり框、床柱
3)ブナ  硬くて粘りがあり曲げに強いという特徴があるため、集成材のフローリングに使用されることもあります。耐久性はあまりなく狂いが出やすい面があります。
 使用部位は、床板、造作材
造作材一覧
なら  柾目には斑がみられ、その模様は虎の毛並みに似た様相から虎斑(とらふ)と呼ばれる。木理は交錯、肌目は粗い。材は重硬で、切削などの加工は難しく割裂しやすいので、釘打ちなどを施す場合は予備穴を開けておく必要がある。重厚感がある。
 使用部位は、家具材、内装材、建具材、イス、床材、器具材、車両材、洋酒樽、化粧用単板など幅広い用途に使われる。曲木の材料に適す。
たも木理はほぼ通直だが肌目は粗く、時に美しい杢目が現れる。木はやや重硬で狂いも少なく加工しやすい。 靭性・弾力性に富んでいる。耐朽性は中程度。
 使用部位は、家具材、建具材、造作材、器具材、車両材、化粧用単板、内装用合板、土木材など幅広い用途に使われる。
すぎ木目は鮮明で木理は通直。肌目はやや粗く、材は脂気が少ない上、やや軽軟で加工性は良いが、木目に沿って縦方向に割れやすい。特有の香りがある。乾燥がはやい。年輪の現れ方でいろいろな杢が出るものは装飾的価値がずっと高く、その形や感じによって笹杢、鶉杢などと呼ばれている。桧とともに日本で最もよく用いられる建築材である。
 使用部位は、造作材など建築用材として最も多く用いられる。その他、床材、羽目板、建具材、天井板、包装用材、電柱など用途は多い。
ひのき木理通直、軽軟・肌目は緻密で特有の芳香と美しい光沢をもつ。弾力性、靱性に富み、狂いが少なく加工性もよい。耐久性にすぐれる。それに加えて耐湿、耐水性にも強く、保存性が高い。すべての面で優れた材質をもつ。年輪も美しい。肌目は精で、表面を上手に仕上げると特有の光沢を出すことが出来る。杉とともに日本で最もよく用いられる建築材である。
 使用部位は、造作材など建築用材として最も多く用いられる。その他、床材、羽目板、建具材、天井板、包装用材、電柱など用途は多い。
木材の等級(慣用的等級)
無節(むふし)無節(むふし)の木は、昔から高級材として珍重されてきました。節を基準とした等級付けでは、最も上の等級として扱われます。仏間や和室、玄関など、人の目が多く触れたり、建物の中でも格上とされる場所で使用されてきました。また、節が無いために節あり材より強度が高く、水にも強いとされています。
上小節上小節(じょうこぶし)と呼ばれる小さな生き節です。節ではありますが、直径6mm程度と小さく、あまり目立つことはありません。無節に近い見た目を求める場合によく用いられます。
小節小節(こぶし)と呼ばれる、直径20mmくらいまでの生き節・詰節です。小節の詰節は、死に節・抜け節だった節の部分に機械で穴を開け、穴と同じ大きさの「埋め木」という木のパーツをはめて補修します。
節あり最後にが、節あり(一等)と呼ばれる等級です。小節同様に埋め木が行われますが、小節より大きな生き節や詰め節が多数存在します。等級としては最も低いものです。目に見えない場所に使う構造材や下地材によく使用されます。
特一等材の角面に丸面がない材、ピン角の材
1等材の上部ののみに少し程度の丸面「のた」ある材 隠れる部分に使われる
2等材の所々に丸面「のた」が付いていて角面が少ない材 バタ角や杭等に使われる
柱材の等級
4面それぞれの節の大きさ・数で、柱材の等級は決められます。4つの面(木口側を除く)を持つ柱材では、それぞれの面にある節の状態で等級を定めます。化粧柱は、人目に触れる面の数に応じて、「四面無節」「三面無節」「二面無節・一面上小節」「四面上小節」など、様々な等級が存在します。この場合、特に等級の指定が無い面に関しては、節ありであることが一般的です。
造作材の等級
造作材の等級は、「無節」と「無節特選上小節込」の2種類のみです。造作材は薄く細いものが多いため、小節以上の大きさの節が入った木を材料として加工した際に、節の部分が砕けたり折れたりしてしまいます。また、埋め木の厚みより造作材の厚みの法が薄いため、詰節をすることもできません。
木材の強度
材料の強度は曲げヤング係数(tf/cm²)という数値がひとつの目安となります。曲げヤング係数とは、木材に加わる「曲げ」の力と、その力に対する木材の変形である「歪み」の関係を示す数値です。数値が大きいほど曲げに対して強いことを表します。 隠れてしまう構造材でも特一等以上を採用することをおすすめします。
代表的な木材の強度(tf/cm²)
杉(70)ツガ(80)アカマツ(115)ヒノキ(90)ケヤキ(120)ベイマツ (110)
これらの値は無垢材ではバラツキがあります。 構造計算の不要な木造2階建てまでであれば問題はありませんが、 構造計算が必要な木造3階建てでは、強度のバラツキが少ない集成材を用いることも必要になってきます。
乾燥の最低基準(含水率)
構造用製材 20%以下
造作材敷居、鴨居、長押等18%以下
 床板、内装用壁材1510
集成材
集成材は、丸太材から板状(ラミナ)に切り出して、それを接着剤で圧着して作られた木材です。 集成材は施工後の狂いが少なく、強度・性能のバラツキも小さいといった特徴を持ち、無垢材のデメリットを補う材料であるといえます。同じサイズの木材であれば、建物完成時の強度は集成材は無垢材より優れています。一般的には集成材は無垢材の1.4倍の強度があるとされています。無垢材の部分的な強度のバラツキを細かいピースを強力な接着剤で張り合わせることで、均一な強度を確保しているためです。施工後も寸法の変化が少ないことからもクレームも起きにくいといえます。
集成材の不安要素
集成材は板材(ラミナ)を接着剤で貼り合わせたものであり、その耐久性は接着剤の接着力ということになります。接着剤は湿気に弱いことや、経年による接着力の低下からはく離する恐れがあります。近年の接着剤は強力になり、耐久性も改良はされてきていますが、将来的に不具合が起こる可能性は否定はできません。集成材の接着剤はVOC(揮発性有機化合物)物質を含むものが多いため、「シックハウス症候群」といった健康被害がないとは言いきれないものです。特に乳幼児といった小さなお子様がおられる場合は使用材料、接着剤にはご注意頂きたいところです。
2京銘竹

日本には600種余りの竹があります。

昔から、竹はさまざまな形で私たちの生活の中で使われてきました。

手に入りやすく、削る・曲げるといた加工がしやすいため、材料として重宝されてきました。

中が空洞で、節があるという特徴的な形もまた、竹がいろいろな形で利用されてきた理由のひとつです。

同質で同じ長さの棒状のものを量産しやすく、薄く削ると適度な弾力を得られます。

そのため、細工や工芸の材料によく使われてきたのです。

竹材京銘竹竹材の製作と性質簾(すだれ)籠(かご)for English
京銘竹
京銘竹とは、京都府伝統的工芸品指定要網の規定により京都府伝統工芸品に指定された伝統的な工芸品です。 その伝統工芸品には、白竹(晒竹)、胡麻竹(錆竹)、図面角竹、亀甲竹があります。
白竹
建築用、茶華道具、美術工芸品に欠かせない銘竹です。炭火やガスなどの火力であぶり、油抜き(竹をじっくり温め内部から水分と老廃物を取り出す)を行い、天日で乾燥させます。この作業を「晒し」と呼び、晒すことにより光沢や靭性が増します。また、生産性を向上させるために、湯抜き(熱湯を用いて行う油抜き)という方法がとられることもあります。
胡麻竹
建築用、扇子立て、花器等、親しみやすい工芸品に用いられます。竹に梯子をかけ、鋸で竹の先端や枝を全て切断して、立ち枯れさせます。そのまま暫く放置すると、竹の表面にカビが寄生して黒い小さい斑点が出てきます。この黒い斑点が胡麻を撒いたように見えるため、胡麻竹と言います。
図面角竹
飾り柱、花器、椅子、床机など風情ある家具に用いられます。 地表に2cm~40cmぐらい出た筍の四方を板枠で囲い、筍の成長に合わせ板枠も伸ばしていきます。 竹が伸びきったところで板枠をはずし、竹の表面が柔らかいうちに図面付け作業を行います。 図面付け作業に用いられる薬剤は、希硫酸に粘土を混ぜたものを使用します。
亀甲竹
高級な趣味性を追求する建築装飾、工芸品に用いられます。孟宗竹の芽子が突然変異を起こしたものです。 稈(かん・中空の茎)の部分がジグザグしていてまるで亀の甲羅のように見えることから亀甲竹と名付けられましたが、仏様の顔にも似ていることから仏面竹とも言われています。

伝統工匠

竹工芸師竹の歴史暮らしと竹工芸京銘竹竹材の製作と性質for English
竹材の製作と性質
竹材の製作
伐採は冬場に行います。伐採したばかりの水分の多い竹は約5mに裁断し、約60日間倉庫で陰干しします。その後、反った竹のくせ直しをします。 くせ直しをした青竹の表面を水洗いし、汚れを落とします。
白竹にする場合、炭火やプロパンガスであぶり、しばらくして竹の表面に油がにじみ出てくると、乾いた布でぬぐいとります。その後、太陽のもとに約10日間天日干します。
伐採(冬場)→切断→陰干し→くせ直し→水洗い→あぶり→油のぬぐいとり→日にさらす
晒竹にする場合、お湯とカセイソーダで油抜きをし、くせ直しをしてから晒します。
竹の性質
堅牢性、強靭性竹は破損しにくく、ひび割れも起こりにくい性格をもっています。
低伸縮性吸水膨張率及び加熱乾燥収縮率が非常に小さいです。そのため、古来より物差しや計算尺に使用されてきました。 精度が必要な建材として最適です。
弾力性、柔軟性木材に比べて弾力性、柔軟性に優れています。
抗菌性、脱臭性抗菌性があり、鮮度を保つ能力に優れています。そのため、昔から竹の水筒が使われたり、筍の皮でおにぎりを包んだりすることに使われてきました。また多孔質の構造から臭いを吸収するという性質を持ち、乾留処理された竹は脱臭効果がより高くなります。
熱伝導性熱伝導性に優れ、床暖房の表面材に竹を用いると最適です。 熱による伸縮及び反りが非常に少ないのも竹の優れた性質です。
簾(すだれ)
すだれの歴史は、少なくとも奈良時代にまでさかのぼります。 すだれは、日本に現存する最古の和歌集である万葉集にも詠まれた風情ある調度品です。 平安時代には「御翠簾(みす)」とよばれ、貴族文化における寝殿造りのすまいの仕切りとして欠かせない調度品でした。簾は、古い歴史を持つ日本を代表する道具の一つです。
“簾”という言葉は、7世紀後半から8世紀後半ころにかけて編まれた日本最古の和歌集で登場しています。平安時代には、多くの貴族が使用しており、当時の建築構造では現在のドアや引き戸のような仕切りがなかったため、簾の原形である御簾(みす・ぎょれん)を使用していました。
当時使用されていた御簾の多くは、現在主流となっている簾に布地で出来た縁をつけ、房を垂らしたものでした。高級品であったことから貴族の間で使用されるようになり、竹や葦(よし)のみで作られるようになってから一般市民へも浸透したと言われています。
1.原竹2.竹切り3.外皮取り4.大割り5.中割り6.小割り
7.すがづくり8.先付け9.ひご板通し10.編み11.仕上げ 

7.すがづくり(4,5本ずつ糸でくくる)8.先付け(小刃で先を細く削る)

9.ひご板通し(金属板にあけた穴に竹を通して削りひごをつくる)11.仕上げ(縁・小道具付け)

籠編み
タケがまだ日本列島に入ってきていない縄文時代、縄文人は、ワラビの繊維を使って、カゴを作っていた可能性が大きいといいます。 別府竹細工は、景行天皇が九州熊そ征伐の帰りに別府に立ち寄った際、お供の膳伴(台所方)が、良質の竹の多いことを発見して、メゴ(茶碗かご)を作ったことがはじまりと言い伝えられています。 室町時代には、木地師(木をくりぬいたり、ロクロで挽いて椀や盆などを作る職人)が塩桶から竹を用いた塩かごを発案したことから、行商用のかごが販売のために生産されるようになったともいわれています。 花を生けるための竹籠が広まったのは江戸時代中頃のこと。 当時流行した煎茶の席で唐物と呼ばれる中国様式の籠が飾られました。 隙間なく編み込まれた格調の高い中国風の作品が京や大阪を中心に盛んに作られました。 明治に入ると日本では独自のデザインによる竹籠が生まれます。
1.原竹2.大割り3.中割り4.小割り5.へぎ皮を取る6.巾決め
7.厚みそろえ8.面取り9.編組10.縁かがり11.仕上げ 

5.へぎ(竹皮と身を分ける)9.編組(底から編みあげていく)11.仕上げ(着色・手付けなど)

3石材
      
建築材料の石
建築に使われる天然石材は、大きく「火成岩・堆積岩・変成岩」の3つに分類できます。 火成岩は、地中のマグマが冷えて固まった岩石。 地表からの深さによって、深成岩と火山岩に分類できます。堆積岩というのはその名の通りで、色々なものが堆積して押し固められることによって出来た岩。 変成岩は、既存の岩石が熱や圧力などにより再結晶化してできた岩石。
火成岩
火成岩は、地中のマグマが冷えて固まった岩石。 地表からの深さによって、深成岩と火山岩に分類できます。 変成岩は、既存の岩石が熱や圧力などにより再結晶化してできた岩石。火成岩で硬く、高い耐久性と耐火性をもつ石材。 そのため、建物外装に使用する事も可能で、色々な場所で活躍する石材です。
堆積岩
堆積岩というのはその名の通りで、色々なものが堆積して押し固められることによって出来た岩。砂利や砂、粘土、生物の遺体(サンゴ、貝殻)などが川の水流や 波、風によって湖や海の底に運ばれて積もることにより堆積岩となります。 堆積岩の元となるのは、砂利や貝殻の堆積だけではありません。 火山が噴火したときに噴出される、火山灰や砕屑が堆積することによっても堆積岩が出来ます。
変成岩
変成岩というのは、火成岩や堆積岩などの地層が地殻変動による熱や圧力を受けて再結晶化し、変質したものです。 すでに岩石となっているものが変成作用を受けることによって出来上がった岩石。
火成岩安山岩鉄平石。那須石。白川石。小松石
 花崗岩御影石。黒御影。白御影。稲田石。蛭川石。庵治石。万成石。北木石
堆積岩石灰岩トラバーチン。ライムストーン。
 砂岩日の出石。多胡石。諫早石。
 凝灰岩大谷石。青葉石。別畑石
 粘板岩玄昌石。那智黒石。
変成岩大理石寒水石。オニックス。
 蛇紋岩蛇紋岩。凍石。

石材の特徴

安山岩(あんざんがん)
火山から噴出した火山岩で、地表近くで塊状(かいじょう)に不規則に固まることや柱状、また板状に露出している岩石。安山岩は斜長石(しゃちょうせき)、角閃石(かくせんせき)などで構成されており、灰褐色のものが多く、光沢はほとんどありません。しかし、中には美しい色を持つものも。
花崗岩(かこうがん)
花崗岩は地球上で最も多く存在する岩石で、主に建物の外装に使用されている石材。日本では御影石(みかげいし)と呼ばれることもあります。「御影石」聞いたことありませんか?そう、お墓の暮石としてよく使用されている、あの石です。近くに寄って見たことありますか?実はマダラ模様がある石で、御影石自体にも様々な色があります。花崗岩は石英(せきえい)やカリ長石(かりちょうせき)、黒雲母(くろうんも)などの結晶から形成されている石材。
石灰岩(せっかいがん)
石灰岩というのは、主に炭酸カルシウムからなる岩石で、粒の荒い石材。堆積岩と呼ばれる種類の石材で、貝や動物の遺骸(いがい)、軽石や火山灰、火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)が地表に堆積して作られる岩石です。細かい粒子が堆積して作られた石材なので、比較的軟らかく加工がしやすい。しかしその反面、他の石材に比べて強度が低いので、力がかかる部分での使用はオススメできません。建築用に使用されるものの中では一番柔らかい部類の石材で、高い吸水性を持っています。外装に使うというよりは、建物内壁、床材として使用したい石材ですね。

石材の種類

砂岩(さがん)
砂岩というのも堆積岩の一種で、石英や長石などが荒い粒となって水中に堆積したもの。一般的に軟質で加工がしやすく、水中でグッと押し固められているので耐火性があります。また、酸にも強い特徴を持っていますが、吸水率が高いため外壁での使用はオススメできません。その反面、自然の力で見た目がゆっくりと変化していくので、経年変化を楽しむ事も出来る石材です。メンテナンスができる人は、玄関の敷石として使用するのも面白そうですね。
凝灰岩
凝灰岩は火山岩や砂、岩塊片(がんかいへん)などの火山噴出物が水中や陸に堆積して凝固したもの。つまり、火山から出てきた岩石が集まり、ギュッと固まったものです。火山から出た石の塊なので光沢はなく、軟らかい石材なので経年変化でどんどん変色していきます。白色、グレー、緑灰色の色をしており、材質が軟らかく強度が低いため採石と加工が簡単。耐火性にも優れていることから石塀や石蔵、温泉の岩風呂などに使用されている石材です。
粘板岩(ねんばんがん)
粘板岩はスレート(slate)とも呼ばれる石材で、均一で非晶質の板状組織を持っているもの。とにかく板状に薄く剥がれる性質を持っている。板状の加工が容易なので屋根材に多く使用されている石材です。
大理石(だいりせき)
高級石材の代名詞でもある大理石。主に内装材として使用される装飾石材。大理石は花崗岩に比べて軟らかく、短時間で加工が可能なため内装材として使用されます。
石材の長所と短所
長所短所
圧縮強度 (押す力に対する強度) が大きく、耐久性が高い。 耐火性・耐熱性に優れる(耐熱度が最も低い花崗岩でも570) 研磨することで光沢が出るものもある。 仕上げ材として用いた場合、重厚感あるデザインになる。 種類が多く、様々な趣のデザインがある圧縮強度に比べて、引っ張り強度や曲げ強度が小さい。 他の建材に比べて運搬が不便。 他の建材に比べて加工が困難。
     4屋根材・かわら

日本瓦のはじまりは、

今から約2,800年前、日本瓦の起源となる瓦が中国で生産されました。

当時はレンガのような瓦であったと言われています。

そして約1400年前には、百済を経由して仏教と共に中国の瓦が日本に伝来しました。

西暦588年には奈良県の飛鳥寺建立の際、日本瓦が大量に使用されたという記録があります。

現存する日本最古の瓦は飛鳥時代のもので、元興寺禅室に葺かれた瓦であると言われています。

      
日本かわらの種類
日本国内にある、粘土を材料に作った焼き物の瓦のことを「日本瓦」と呼びます。日本瓦には、そのまま窯で焼く素焼き瓦と、 瓦に釉薬(うわぐすり)を塗って焼いた釉薬瓦(ゆうやくがわら)の2種類があります。日本瓦の屋根は、「平瓦」と「役瓦」2種類で構成されています。
無釉薬瓦(いぶし瓦)
釉薬(ゆうやく)を全く使用せずに焼き上げた瓦を「無釉薬瓦」と呼びます。その中で最も一般的なのが「いぶし瓦」です。 いぶし瓦の“いぶし”は、煙で「いぶす」を意味しています。焼き上げる最後の工程で「いぶす」ことによって、瓦の表面に炭素の膜ができ、日本瓦独特の風合いを持つ「いぶし瓦」ができあがります。
釉薬瓦(ゆうやくがわら)
瓦の材料である粘土を瓦の形に成型して乾燥させた後、ガラス質の釉薬を塗って、窯で焼いた瓦を釉薬瓦と呼びます。 表面に塗る釉薬の成分によって、表面が赤や青など、様々な色彩に変化します。
平瓦
平瓦は、お寺や神社に昔から使われてきている瓦の一種で本瓦葺きと呼ばれる葺き方に使用されます。  一般的な日本瓦と違い、神社やお寺で使わられている瓦は、平瓦と呼ばれている平板な瓦と、棟から軒まで伸びた丸瓦の組み合わせで成り立っている屋根です。
桟瓦
横断面が波状をした瓦。 一枚で、本瓦ぶきの平瓦・丸瓦の両方を兼ねるもの。 江戸中期に作られ、以後、一般住居に用いられたふつうの瓦。S字の山の部分の連なりが障子の桟のようだからこの名前が ついたそうです。
役瓦
屋根における役物とは鬼瓦や軒瓦などのような特殊な形をした部材をいいます。装飾や機能を屋根に付加することを目的としており、様々な部分で使われています。一口で「役物」といっても種類も機能もそれぞれ別になっているため色々なものがあります。
棟包(むねつつみ)棟とは屋根の頂上部分をいいますが、この部分は屋根の面が付き合わさるところで雨水が入り込みやすいため棟包という板金の役物を設置しています。一般的には「棟板金」という呼称のほうがよく使われています。棟は頂上部分を大棟といい、頂上から軒先に向かって設置されるのが隅棟といい、差し棟・降り棟という名称でも言われています。
剣先(けんさき)屋根の頂上から軒先に向かって伸びる隅棟の先端に設置されているのが剣先という役物です。
唐草(からくさ)ケラバとは切妻屋根の妻側をいい、そこに唐草を設置します。ケラバ部も雨水が侵入しやすい箇所の一つで、水分が回り込んで軒天を濡らしたり雨漏りしないように水切りように唐草をとりつけます。
棟巴(むねともえ)棟とケラバが付き合わさる箇所に使われるのが棟巴です。瓦屋根の場合は棟巴瓦が使われます。
鬼瓦(おにがわら)棟の端部に使う飾り瓦
軒瓦(のきがわら)軒先に使う瓦
けらば瓦切妻屋根の端部に使う瓦
袖瓦(そでがわら)ケラバに使用する。軒瓦と同じように屋根の端に使用する為、垂れがついています。左右があります。
熨斗瓦(のしがわら)屋根の棟に来る雨水を表側と裏側に流すために積まれる瓦の事を言います。
桟瓦(さんがわら) 横断面が波状をした瓦。 一枚で、本瓦ぶきの平瓦・丸瓦の両方を兼ねるもの。
  
瓦の葺き方
本瓦葺き本瓦葺きは土葺きと呼ばれる工法で葺かれています。練った土を野地板の上におき、それを土台として瓦の角度や瓦同士の隙間を調整しながら葺いていく方法です。練った土ですから、かなりの重く、それだけ建物の重量増となります。 平瓦は丸瓦の下に敷かれている瓦になります。平瓦という名称ではありますが、緩いアーチ状になっており、中央に雨水を寄せて排水効率を上げるられるようにしてある形状をしているのです。丸瓦と平瓦が連携して雨仕舞を行うというかなり合理的な構造になっているところがすごてですね。
桟瓦葺き桟瓦とは桟木に引っ掛けて固定する瓦のことです。桟葺きは現代の瓦屋根の一般的な葺き方で、野地板の上に設けられた桟木に瓦を引っ掛けて固定しています。文字通り、瓦の縁に設けられた突起を角材に引っ掛けているだけなので、簡単に取り外せます。不具合が出た瓦を周辺を分解やてっきょすることなく1枚単位で交換することができるというとても利便性に富んだ工法なのですが、完全に固定されているわけではないので、強風や地震で瓦がズレたり、落下したりという危険性があります。
日本瓦の主な産地 
三州瓦(さんしゅうがわら)愛知県西三河地方などで生産されています。
石州瓦(せきしゅうがわら)400年前から、島根県の西部で生産されている赤い日本瓦です。現在の普及率は、三州瓦に次いで第2位です。
淡路瓦(あわじがわら)兵庫県淡路島で生産されている瓦を「淡路瓦」といいます。その最大の特徴は「なめ土」という日本瓦に適した粘土を使用していることです。
5和紙

和紙の元となる紙は紀元前2世紀頃、

中国の役人、蔡倫(さいりん)により発明されました。

紙は中国大陸から書物として日本に伝わりました。

「日本書紀」には610年に高句麗の僧、曇徴(どんちょう)が伝えたとあります。

その後、日本独自の素材や製法を取り入れ、和紙へと発展していきまし

目次

      
奈良時代
聖徳太子が仏教を世に広めよういう時、紙漉きの技術が伝来しました。聖徳太子は、仏教を広めるために写経用に和紙を使いました。その後は国家が戸籍を管理するために、和紙を活用しました。このころには、紙屋院という、国家の紙漉き所も作られていました。
平安時代
平安時代には、紫式部などの女流作家が活躍しました。要望を満たすために、薄くて強い和紙を作る技術が発達しました。日本独自の技術である「流し漉き」が生み出されたのもこのころです。和紙は、このとき、しなやかで強靭な紙へと飛躍を遂げました。
鎌倉時代
鎌倉時代は武家文化の時代です。武家の贈答用に、分厚くて力強い和紙が隆盛しました。1束1本と呼ばれ、紙の束と扇を一緒に送る慣習がありました。武力だけでは、世の中渡っていけなかったのです。この時代でも、根回しの力、贈り物がすでに求められていたんですね。折形の文化が普及したのもこのころかと思います。
江戸時代
江戸時代は出版が盛んでしたので、印刷する紙として、爆発的に町民に普及しました。浮世絵、錦絵、黄表紙など、様々です。藩の財政を潤すために、紙漉きは比較的産業としてはじめやすかったので、全国に広がりました。ちなみに、和紙は使用後にも漉き返すことが可能なので、捨てる必要がなく、非常にエコなものでした。
明治時代
明治時代に入ると、西洋の紙が入り始めます。まだまだ手漉きで頑張っていて、生産量も伸ばしていたのですが、文明開化により、新聞や雑誌も非常に多く必要になり、明治末期には機械で生産される洋紙がその生産性の良さで、需要を持って行ってしまいます。
昭和時代
昭和の時代は、機械漉き和紙がその需要を伸ばします。
オオウエが創業したのも、第二次大戦後すぐのことです。
当時、手すき和紙の業者さんたちは、生産性の向上を行うために、皆で出資して機械すき和紙のマシンを購入しました。
和紙分類
和紙には様々な名称が付けられています。和紙の種類は主に「産地」「原料」 「用途」などにより分類されます。 例えば原料で分類すると以下の様なものがあります。
楮紙
主要な和紙原料である楮(こうぞ)でつくられた和紙です。紙の表面はややラフな質感があり、繊維は太くて長く丈夫です。障子紙・絵画など多くの用途で用いられます。楮を原料とする和紙の産地は全国にあり最も一般的な和紙です。
雁皮紙
古くからの和紙原料である雁皮(がんぴ)でつくられた和紙です。雁皮紙は防虫機能があり耐久性もあるため、日本画・写経用紙・襖用紙・修復用紙などに用いられます。繊維が最も細くて短く、滑らかな表面で独特の光沢があります。
三椏紙
和紙原料の一つである三椏で作られた和紙で、比較的新しく近世から用いられたようです。繊細で滑らか、さらに弾力と柔らかな艶があり、書画用や襖紙・登記用紙・エッチングなどに用いられてきました。現在の日本の高額紙幣には三椏が使われています。
鳥の子紙(とりのこし)
最高級和紙の代名詞として知られます。鶏卵の殻の色に似た淡黄色の紙色からつけられた名前です。雁皮が原料で、虫害がなくて保存性が高く、なめらかで書きやすいため、珍重されました。書画用紙はもちろん、ふすまなどの内装紙、箔打紙や金糸台紙など特殊用途の紙があります。
局紙(きょくし)
明治時代、印刷局が公債券や賞状のために作らせた紙で「印刷局の紙」の名が付いています。三椏が原料で、光沢のあるしっかりした厚紙です。原料は和紙ですが、ネリを使わず、ヨーロッパ式の溜漉き法で作られます。
画仙紙(がせんし)
本来は中国産の書道用紙です、戦後、国内での生産がほとんどとなりました。中国風の墨色家にじみ、筆の滑りを再現するために、各種の木材パルプや稲・麦わら竹パルプなど、さまざまな材料を用います。
打雲・飛雲紙(うちぐも・とびぐもし)
平安時代唐歌人の詠草に用いられた紙で、越前和紙のもっとも古典的・伝統的な漉模様紙です。打雲は、鳥の子紙の地紙に藍染の紙料を雲状に漉きかけたもの。飛雲は地紙の上の所々に紙料を垂らして飛雲のように仕上げます。
墨流し紙(すみながしし)
水面に墨を流して紙を乗せ、墨の描いた自然の模様を染め出します。平安時代から伝わる越前和紙の代表的模様紙で詠草用・細工紙・襖紙などに用います。藍流し、紅藍流しなどの種類があります。
画材紙(がざいし)
越前の溜漉き・初代平三郎が、古代に絶えてしまった麻紙を復元した紙で、日本画家に愛用をされます。麻だけでなく、楮・三椏・雁皮などを混合した、さまざまな種類があり、大観紙・雅邦紙など愛用した画家の名が付いています
奉書紙(ほうしょし)
室町後期に生まれた楮繊維の厚紙で、綸旨や院宣など公文書(奉書)を記すのに用いられました。越前(福井県)が昔からの代表的産地。上品なふっくらした紙肌と汚れのない白さが愛され、現在は高級版画用紙や巻紙、書簡、懐紙などに愛用されています。
壇紙(だんし)
楮繊維が原料の厚紙で独特のしわが特徴。繊維がわきたつ雲状をした紙肌で、独特の重厚な味わいがあります。宮廷や幕府の御用紙として用いられ、現在は儀式や包装用に使われます。
左官・壁の種類
土壁
日本家屋の壁。 竹などを格子状に編んだ小舞下地(こまいしたじ)の両面に、藁(わら)を混ぜた土を塗り重ねる土壁。消石灰・麻等の繊維・糊でつくった漆喰が用いられるが、それらの仕上げに欠かせない下地壁で荒壁とも言う。土壁は、柱と柱をつなぐ貫(ぬき)に縄で編み込んだ竹を格子状に並べ、その上から土を塗り重ねて仕上げられた壁です。つまり、下地から仕上げまで土を使った壁が土壁です。その土壁の仕上げに聚楽土を使えば、すなわち聚楽壁となります。灰土(はいつち)、引土(ひきつち)を混ぜれば、大津壁となります。仕上げに漆喰を使えば、漆喰塗壁となります。また、土蔵の外壁や装飾の鏝絵など、技術を芸術的領域にまで昇華させる入江長八等の職人も現れた。
入江長八(いりえちょうはち)
漆喰(しっくい)と鏝(こて)で、絵を描き、あるいは彫塑(ちょうそ)して彩色するという独自の方法を編み出した 「左官の名工」伊豆の長八(本名・入江長八)。文化12年(1815)8月5日、長八は伊豆国松崎村明地(現在の静岡県賀茂郡松崎町)に貧しい農家の長男として生まれました。3歳の頃から菩提寺の浄土真宗・浄感寺で学問を学び、当時住職であった十三世正観上人のもとで12歳の頃まで育てられました。12歳のとき同村の左官棟梁(とうりょう)関仁助のもとに弟子入りします。その当時から手先の器用さで知られておりました。天保4年(1833)19歳のとき江戸へ出て御用絵師である谷文晁の高弟、狩野派の喜多武清から絵を学ぶ一方、彫刻も学びました。 絵画や彫刻技法を漆喰細工に応用し、従来は建物の外観を装飾する目的で漆喰壁に鏝で模様を描いていたものを絵具で彩色して室内観賞用の芸術品に昇華させました。 26歳で江戸日本橋茅場町にあった薬師堂の御拝柱の左右に『昇り竜』と『下り竜』を造り上げて、名工「伊豆の長八」として名を馳せました。
漆喰壁
砂や糊、消石灰などを混ぜて塗りつける土壁です。表面が滑らかで、耐久性や防火性に優れており、アルカリ性のためカビが発生しにくいというメリットもあります。
聚楽
和風建築の代表とも言える壁、「聚楽壁(じゅらくかべ)」。京都で生まれ、古くから茶室や歴史的建造物などに使われてきた伝統的な土壁です。上品に和室を彩ることから、今でも根強い人気があります。本物の聚楽壁は、今はなかなか素材となる土自体が取れない貴重な壁となっています。そもそも聚楽壁とは、京都西陣にある聚楽第跡地付近で産出された「聚楽土」を使った土壁です。この土は非常に良質で、京都西陣のどこにでもある土ではなく、ごく限られた場所からしか見つからない非常に貴重な土と言われています。 その貴重な聚楽土を使い、京都の高い技術を持った左官職人が仕上げる聚楽壁は、実に美しい土肌です。和室の風情やわびさびを静かに彩ります。 聚楽第の土はきめ細かい上質の砂で、うぐいす色やあさぎ色といった落ち着いた色味は、わびさびを重んじる歴史的建造物やお茶室などの壁に使用されています。
聚楽壁はどうやって作られる?
聚楽壁は土壁の一種です。土壁は、土と藁(わら)や麻、細かい紙やスサ、砂、水をこねて作られます。自然以外の材料は使いません。 柱と柱の間に、格子状に縄で竹を編み込んだもので下地を作り、土壁を塗っていきます。土壁は、水や土、砂、藁などしか使っていないのですが、これを寝かせて発酵させます。土壁は、粗塗り、そして中塗り、仕上げの上塗りと、三回塗り重ねて作られていきます。 聚楽壁は一番最後の「仕上げの上塗り専用」の土壁なのです。 塗る厚さは、約2mm。しかも、傷やムラが入ると全部塗り直さないといけない非常に高い技術を伴う作業です。
土壁
土壁は、柱と柱をつなぐ貫(ぬき)に縄で編み込んだ竹を格子状に並べ、その上から土を塗り重ねて仕上げられた壁です。つまり、下地から仕上げまで土を使った壁が土壁で、その土壁の仕上げに聚楽土を使えば、すなわち聚楽壁となります。
「京都の壁」=「京壁」
「仕上げの繊細な土壁=京壁=聚楽壁」というような呼び方で一般的には通っています。京壁は土とみじん砂・みじんスサ、場合によりツノマタノリなどを加え、砂の目が揃うように繊細に仕上げます。最近では繊細に仕上げる京壁仕上げだけでなく、中塗りの土壁の配合で少し荒々しく仕上げる「中塗り仕上げ」が採用されるケースが多くなっています。中塗り仕上げは「中塗り仕舞い」「切り返し仕上げ」と地域によって呼び名が違い、仕上げる方法やルーツがそれぞれ違ったりしています。
大津壁
大津壁とは、土にスサと少量の石灰を混ぜた材料を塗りつけ、鏝で何度も押さえることで緻密な肌に仕上げる土壁のことを言います。
大津壁は滋賀の大津がその名前のルーツになっています。滋賀県大津で採れる「江州白土」という土を使っていたことから、この名で呼ばれるようになりました。その工法が全国に広まったので大津壁と言われるようになりました。大津壁は使用する材料によって泥大津、並大津、大津磨きの3種類に分けられます。大津壁で一番ポピュラーな色は赤。深みのある赤色が特徴です。赤の次の多い黄大津。上品な黄色に仕上がります。
泥大津
泥大津は川や田んぼの土の上澄み(きめの細かい部分)を使用し、それを取り出し石灰を混ぜ、磨き壁にしたものです。大津壁の中では比較的リーズナブルに施工できる壁です。
並大津
並大津は色土を用い、石灰と紙スサを混入し、鏝で押さえた仕上げです。黄色や赤など鮮やかなものが多く、また、磨きこみすぎず、光沢を押さえたマットに仕上るため、上品な印象を与えます。色土を用い、鮮やかで光沢を抑えた上品な仕上がりが魅力です。
大津磨き
大津磨きは、専用の鏝を使って何度も押さえることで、非常に滑らかで艷やかな壁に仕上げます。大津磨きのための専用の鏝が必要になるため、限られた左官職人のみが作り出せる、大津壁の最高峰です。並大津のように色土に石灰と紙スサを混ぜたものを、鏝でしっかりと何度も押さえることで光沢を出す仕上げです。均一に色むらなく同じ光沢で仕上げるには、塗りつけた材料が磨きの出来るわずかな時間の間に鏝を当てていかなければならず、1日1人1㎡~3㎡程度を仕上げるのが精一杯の壁です。
大津壁の基本的な工程は
1.中塗り土などの下地の上に灰土(はいつち)と呼ばれる下塗りを行い、
2.次に引土(ひきつち)という上塗りの土を塗ります。
3.水引きのタイミングを見て磨き鏝を何度も当てて、鏝を当てても状態が変わらなくなったら、
4.ビロードの布を表面に軽く当ててこすり、光沢を出していきます。
5.その後、手のひらで磨く「手ごすり」を行います。
錆壁
鉄粉や古釘の煮出し汁などを配合した土壁です。塗ってしばらくすると、鉄分が錆びて褐色の斑点が浮かび上がり、独特の雰囲気を演出。時間の流れとともに味わい深くなる壁を楽しむことができます。

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